調査研究・助成事業

「子宮頸がん検診に関する共同研究」について

ちば県民保健予防財団と市原市は、子宮がん検診の受診  率向上とがんの早期発見を目指して、共同研究を実施しました

 子宮頸がんの主な原因は、性交渉によるヒトパピローマウイルス(以下、HPV)の感染であることが分かっています。子宮頸がんは、HPVワクチン接種と子宮頸がん検診により予防が可能といわれていますが、日本では、HPVワクチン接種の積極的勧奨が中断され、また、検診受診率も先進国の中で顕著に低いのが現状です。このような対策の遅れから、日本では子宮頸がんにかかる女性が増加しています。
 この研究は、自分で膣内の粘液を採取し、HPVの感染を調べる検査(以下、自己採取HPV検査)が、検診受診率向上とがんの早期発見に役立つかを判断するために実施しました。

この研究は、2025331日をもって全て終了しました。

 

 

研究の成果

1. 自己採取群とコントロール群の検診受診率および中等度異形成以上の発見率を比較した論文
Fujita M, Nagashima K, Shimazu M, Suzuki M, Tauchi I, Sakuma M, Yamamoto S, Hanaoka H, Shozu M, Tsuruoka N, Kasai T, Hata A. Effectiveness of self-sampling human papillomavirus test on precancer detection and screening uptake in Japan: The ACCESS randomized controlled trial. Int J Cancer. 2024;155:905-915. doi: 10.1002/ijc.34970.

子宮頸がん検診として、介入群は自己採取HPV検査または細胞診を、コントロール群は細胞診を受けることができました。

介入群とコントロール群の検診受診率は、それぞれ、20.0%と6.4%であり、自己採取HPV検査の提供により検診受診率が3.1倍多くなりました(p<0.001)。しかし、中等度異形成以上の検出率は、介入群で0.7/1000検診対象者、コントロール群で0.5/1000検診対象者であり、両群に有意な差は認めませんでした(p=0.674)。その主な原因は、自己採取HPV検査陽性者の細胞診受診率の低さにあると考えられました(46.8%)。自己採取HPV検査の効果を最大限に発揮するためには、HPV検査陽性者に対する細胞診の受診率を高める対策が必要であることが示唆されました。

2. 単発の自己採取HPV検査提供により次期ラウンドの検診受診率が向上するか否かを報告した論文
Fujita M, Nagashima K, Shimazu M, Suzuki M, Tauchi I, Sakuma M, Yamamoto S, Hanaoka H, Shozu M, Tsuruoka N, Kasai T, Hata A. Ripple effect of temporary self-sampling HPV test on screening uptake in the next round: A secondary analysis of the ACCESS randomized controlled trial. J Med Screen. 2025. doi: 10.1177/09691413251352999. [Online ahead of print]

介入は2021年度に行い、介入群は自己採取HPV検査または細胞診を、コントロール群は細胞診を受けることができました。次期ラウンドである2023年度には、両群ともに細胞診を受けることができました。次期ラウンドの子宮頸がん検診受診率は、介入群で10.0%、コントロールで10.2%であり、両群に有意な差を認めませんでした(p=0.717)。自己採取検査による次期ラウンドの受診率への波及効果は期待できず、継続して検診受診率を向上させるためには、自己採取HPV検査を提供しつづける必要があることが示唆されました。

3. 自己採取HPV検査受診者に対するアンケート調査結果を報告した論文
Fujita M, Nagashima K, Shimazu M, Suzuki M, Tauchi I, Sakuma M, Yamamoto S, Hanaoka H, Shozu M, Tsuruoka N, Kasai T, Hata A. Acceptability of self-sampling human papillomavirus test for cervical cancer screening in Japan: A questionnaire survey in the ACCESS trial. PLoS ONE 2023;18:e0286909. doi: 10.1371/journal.pone.0286909

 

対象者

2021年度の市の子宮頸がん検診の対象者である30-59歳の女性のうち、自己採取HPV検査を受け、アンケート調査に回答した1,192



プレスリリースの原稿

4. 自己採取HPV検査の受診率、各手順にかかった時間、有害事象の数(0件)などを報告した論文 

Fujita M, Nagashima K, Shimazu M, Suzuki M, Tauchi I, Sakuma M, Yamamoto S, Hanaoka H, Shozu M, Tsuruoka N, Kasai T, Hata A. Implementation of a self‑sampling HPV test for non‑responders to cervical cancer screening in Japan: secondary analysis of the ACCESS trial. Sci Rep. 2022;12:14531. doi:10.1038/s41598-022-18800-w

 

5. 研究計画の論文

Fujita M, Shimazu M, Nagashima K, Suzuki M, Tauchi I, Sakuma M, Yamamoto S, Shozu M, Hanaoka H, Tsuruoka N, Kasai T, Hata A. Study protocol of the ACCESS trial: a randomised trial to evaluate the effectiveness of human papillomavirus testing by self-sampling in cervical cancer screening uptake and precancer detection. BMJ Open. 2022;12:e049803. doi:10.1136/bmjopen-2021-049803

書類のダウンロード

研究説明書(全対象者用)

研究説明書(自己採取HPV群用)

総合センターへのアクセス

■ 徒歩の場合

JR京葉線、千葉都市モノレール「千葉みなと駅」から約17分又は京成千葉「西登戸駅」から徒歩約15分

■ バスの場合

コチラの時刻表をご参照ください。

■ お車の場合

カーナビに財団の代表電話番号(043-246-0350)をご入力いただき目的地に設定してください。

ページトップへ